本事業の目的

本事業の目的

令和3年4月に施行された法令の改正による眼の水晶体に受ける等価線量の限度値引き下げ(※1)を契機として、職業被ばく低減の重要性が一層高まりました。

特に、医療機関において放射線業務に従事する医療従事者の健康を守り、新たに改正施行された規則を遵守するためには、組織的な被ばく線量の管理と低減対策の実施が重要ですが、組織として取り組むべき体系的な被ばく低減の方法・管理手法については、これまで明確にはされていませんでした。

このため、厚生労働省の労災疾病臨床研究補助金事業により、医療機関において取り組みやすい管理手法として「放射線業務に従事する医療従事者の被ばく低減のためのマネジメントシステム」(以下、放射線MSといいます。)が開発されました。そこで、本事業において、放射線MSの導入・運用を支援することで、組織として系統立てられた被ばく低減の管理に取り組む医療機関の拡大が図られることになりました。

令和2年度から本事業を開始後、これまでに多数の医療機関にご参加頂き、研修会、個別支援等を通じて放射線MSの導入を進めるとともに、導入による改善事例の報告会も開催してまいりました。
一方で、厚生労働省が令和2年度から令和4年度までに実施した「医療機関における放射線管理に関する自主点検」によると、法令で必要とされる個数の線量計を配付していない等、依然として放射線管理に関する課題がある医療機関も確認されています。

このような中、厚生労働省では、令和5年度からの「第14次労働災害防止計画」において、事業者による医療従事者の被ばく線量管理及び被ばく低減対策の取り組みを推進するとともに、被ばく線量の測定結果の記録等の保存について管理を徹底することとしており、医療機関に対する放射線MSの導入を支援していくことが示されております。

本事業では、今年度、放射線業務を行う医療機関を対象とし、医療従事者の健康を守る観点から、基礎研修、専門研修及び報告会の開催を通して放射線MSを導入・運用する医療機関の拡大を図り、各医療機関における放射線管理体制の強化(組織的な線量管理と低減対策の実施)を支援してまいります。
 

  • ※1電離放射線による労働者の健康障害防止を目的とする電離放射線障害防止規則が令和3年4月1日から改正施行され、眼の水晶体に受ける被ばく量(等価線量)の限度が、それまでの年間150ミリシーベルトから、年間50ミリシーベルト、かつ、5年間100ミリシーベルトに引き下げられました。